栞35 

 私は、顔を上げました。
すると、博美が私の前に回って斜めの角度から、少し俯いてから顔を上げ、しおりちゃんのように私を上目使いに見たのです。
そして、言いました。

「 どうしたの?
 チョコ、食べよう。」
「 そうね、食べよう。」
「 今、食べてね。」
「 後じゃダメ?」
「 ダメ、今だよ。」
「 分かった。」

 私と博美は、顔を見合わせてチョコを取り出し、お互い口に入れました。
甘みを抑えたビターな味が口にひろがりました。
博美が私に言いました。

「 ちゃんと食べたね。」
「 食べたわよ。」
「 忘れることあるからね。」

博美は、私が食べるのを見届けると部屋に戻って行きました。



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[ 2008/03/21 20:57 ] | TB(0) | CM(0)
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