蔵の箱73 

 しばらくして、左右の坊さんの読経が途絶えた。
いよいよ、次は主役の登場だ。
住職のソロが始まるぞ。
 俺は、偉大な住職に期待した。
行け、ウルトラマン!
全宇宙の力を見せてくれ!!

“ ん・・・・?”

 妙に静かな読経が始まった。
今までの迫力は何だったのか、急に迫力が無くなった。
全宇宙の力は、どうしたのだ。
どうも読経が、ふがふがしている。

「 ぽくぽくぽく、かつん、ぽくぽくぽくぽく、かつん。」

“ ・・・・・?”

 木魚の音は分かるのだが、かつんは何だろうと思った。
住職の手元を見ると、木魚を叩く手が少し震えていて、木魚を叩くバチが滑って木魚を置いてある机に当たって、かつんと言う音をたてている。
長い間、手を挙げていたので、疲れたのか・・・・・・。
それとも、長い間、木魚を叩いていたので、疲れたのか・・・・・・。

“ あっ、そうだ。”

 俺は理解した。
もう、3分はとっくに過ぎているのだ。
ウルトラマン住職の意識は、はるか彼方の銀河系に飛び去っているのだ。
意識の飛んだ住職のお経は、延々続いた。
 それにしても、変わったお経だ。
読経の声がふがふがしている。

“ ああ、そうか。”

 俺は、寺務所で見た、住職の金色の総入れ歯を思い出した。
ふがふがは、入れ歯が口の中で浮いているからだ。
それに、時々、お経が裏声になって、ぴゅ〜とか言う。
 俺は、だんだん可笑しくなって来た。
そして、俯いて笑いをこらえた。
俯きながら、Sちゃんを見ると、Sちゃんも俯いて必死で笑いをこらえている。
Tの方を見ると、Tはゆらゆら体を揺らし、気持ち良く居眠りをし始めていた。



☆奇妙な物語HOMEページに戻る。
  奇妙な物語HOMEページ
[ 2007/04/07 19:41 ] 蔵の箱(後編) | TB(0) | CM(1)
 ウルトラマン住職、貸していただきたいような・・・
 面白いです。また、寄らせてもらいます。
[ 2007/05/21 14:20 ] さるなーと [ 編集 ]
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

Author:つぼつぼ7

ねこ

とけい
ブログランキング
・・・・参加ブログランキング・・・・

人気ブログランキング ブログランキング
ブログ王

・−−(押して帰ってネ!)−−・
最近のトラックバック
♪BGM
©Plug-in by PRSU

ポインタ・スイッチ




キーワードの写真ギャラリー
文中の単語をドラッグしてください。