しばらくして、左右の坊さんの読経が途絶えた。
いよいよ、次は主役の登場だ。
住職のソロが始まるぞ。
俺は、偉大な住職に期待した。
行け、ウルトラマン!
全宇宙の力を見せてくれ!!
“ ん・・・・?”
妙に静かな読経が始まった。
今までの迫力は何だったのか、急に迫力が無くなった。
全宇宙の力は、どうしたのだ。
どうも読経が、ふがふがしている。
「 ぽくぽくぽく、かつん、ぽくぽくぽくぽく、かつん。」
“ ・・・・・?”
木魚の音は分かるのだが、かつんは何だろうと思った。
住職の手元を見ると、木魚を叩く手が少し震えていて、木魚を叩くバチが滑って木魚を置いてある机に当たって、かつんと言う音をたてている。
長い間、手を挙げていたので、疲れたのか・・・・・・。
それとも、長い間、木魚を叩いていたので、疲れたのか・・・・・・。
“ あっ、そうだ。”
俺は理解した。
もう、3分はとっくに過ぎているのだ。
ウルトラマン住職の意識は、はるか彼方の銀河系に飛び去っているのだ。
意識の飛んだ住職のお経は、延々続いた。
それにしても、変わったお経だ。
読経の声がふがふがしている。
“ ああ、そうか。”
俺は、寺務所で見た、住職の金色の総入れ歯を思い出した。
ふがふがは、入れ歯が口の中で浮いているからだ。
それに、時々、お経が裏声になって、ぴゅ〜とか言う。
俺は、だんだん可笑しくなって来た。
そして、俯いて笑いをこらえた。
俯きながら、Sちゃんを見ると、Sちゃんも俯いて必死で笑いをこらえている。
Tの方を見ると、Tはゆらゆら体を揺らし、気持ち良く居眠りをし始めていた。
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面白いです。また、寄らせてもらいます。