栞31 

「 加奈ちゃん、朝から様子を見ていたって言ったけど、バレンタインの日、私が書
 類の箱を落としたの知ってる?」
「 知らないわ。」
「 じゃ、誰かから、聞いた?」
「 誰も、そんな話はしていなかったわ。」
「 義理チョコのことも?」
「 何のこと?
 義理チョコなんて、恒例の事だから話題にならないわ。」
「 しおりちゃんも?」
「 特に、話には出てこなかったけど・・。
 どうしたのよ?」

私は、当日のしおりちゃんとのやり取りと、私がチョコを黙って交換したことを加奈ちゃんに言いました。

「 いいんじゃない、そんなこと。
 同じ物なんだから、問題ないんじゃない。
 今まで、気にしていたの。
 バカねぇ〜。」
「 そう、バカね。」
「 しおりちゃんは、知らなかったと思うわ。
 知っていたら、そっと言ってくれるわ。
 言ってくれたら、私はあなたに教えてあげる。
 ずっと、そうだったでしょ。」
「 そうね、そうだわね。」
「 気にすること無いって。
 それより、何も無かったように振舞っていたのが気になったわ。
 気が付けば、止められたのかもしれないわ・・・・。」



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栞30 

「 それで、朝から注意して見ていたわ。
 でも、普段通り、変化が無かったわ。
 私、おかしいなって思ったのよ。
  私は、木村さんにチョコを渡したと思う。
 結果は、もう、分かっていたことだけど・・・。
 だって、木村さんには、あなたがいるんだもの。
 どうして、何も無かったような顔をしているのか。
  私と顔を合わせた時も、そうだったの。
 だって、私は、話を聞いて知っているのよ。」
「 私は、知らなかった。」
「 言い訳がましくなるけど、私、言えなかったわ。
 知っていて、裕子には言わなかったし、しおりちゃんが亡くなってますます言え
 なくなった。」
「 夫も言わなかったわ。」
「 言えなかったんじゃないかしら。
 木村さんにしては、迷惑な話だし、結果があんなことになったんだから、責任感
 じてるわよ。
 言えないわよ、あなたには、特に・・。」
「 それは、加奈ちゃんにも言えることね。」

加奈ちゃんは、申し訳なさそうに頷きました。



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[ 2008/02/20 20:13 ] | TB(0) | CM(0)

栞29 

「 初めは、世間話だったんだけれど。
 そのうち、そろそろ、言いたいこと言ってみたらって促したら、木村さんのことを
 話し出したの。
  かなり前から、好きだったみたいだったわ。
 でも、木村さんには、裕子が居たでしょ。
 友達の彼氏だから、ずっと黙っていたんだけれど、もう、我慢できないって。
 相当、悩んでいたようだわ。
 それも、かなり厳しかったようなの。
 しおりちゃん、思い込むと一途だから。
  好きでたまらないし、彼の側にずっと一緒に居たいし、一緒に暮らしたいって。
 私は、もう、気が狂いそうだって・・、裕子を殺してしまいそうだって、物騒なこと
 も言っていたわ。
  それに、裕子が転勤か何かで目の前から居なくなれば、きっとこちらに気が向
 くんじゃないかって。
 それで、今度のバレンタインに告白するつもりだって・・。
  でも、そんな相談をするときなんて、心はもう決まっているわ。
 相談するのは、同意して欲しいだけなのよ。
 ダメだって言っても、聞く訳無いものね。
  私は、告白することを肯定も否定もしなかったわ。
 でも、心配だったから、告白した後で必ず電話を入れることを しおりちゃんに約
 束させたわ。
 でもね、当日、電話は来なかった。
 何回か掛けたけれど、携帯の電源は切れていたわ。」
「 それで・・。」



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[ 2008/02/15 19:12 ] | TB(0) | CM(0)

栞28 

「 うん・・、色々疑問が浮かんだと思うの。」
「 ええ、それで、昼の話の続きよ。
 知っていることを教えて欲しいわ。」
「 そうね、ずっと言ってなかったんだけれど・・。」
「 何?」
「 私、しおりに相談されたことがあるんだ。」
「 何を?」
「 しおりには好きな人が居たの。
 苦しんでいたわ。」
「 その相手は?」
「 もう、分かっているでしょ。
 詩集の持ち主よ。
 木村さん。」
「 そんなそぶり全然無かったわ。」
「 あなたには、見えないように気を使っていたわ。
 でも、我慢できなくなったようなの。」
「 それで、加奈ちゃんに相談したの?」
「 そうなの。
 しおりが、今日、仕事終わったら、ちょっといいかなって言うから、また、三人で
 夕食かなって思ったら、二人でって言うので、変だなぁって思ったのよ。」
「 それ、いつ頃?」
「 バレンタインの一週間ほど前よ。」
「 それで、どんな話だったの?」



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[ 2008/02/11 19:06 ] | TB(0) | CM(0)

栞27 

「 じゃ、今日の夕方・・・・。
 顔を見て話した方が良いと思うから。
 でも、博美ちゃんはどうするの。」
「 実家に預かってもらうわ。」
「 そう、じゃ、ベルクールでどう。」
「 いいわ、時間は?」
「 5時半には行けるわ。」
「 分かった、5時半で。」
「 じゃあね。」
「 うん。」


 私は、喫茶店ベルクールで5時から加奈ちゃんを待っていました。
コーヒーが半分残って冷たくなっていました。
5時40分に加奈ちゃんが喫茶店に入ってきました。

「 遅くなっちゃって、ごめんなさい。
 片付けに手間取ってしまったの。」
「 うん。」

ウエイトレスがやってきて、注文を聞きました。
加奈ちゃんは、コーヒーを注文してウエイトレスが去ると私の顔を見ました。

「 浮かない顔だわ。」
「 そうよ、浮かないわ。」



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[ 2008/02/06 19:42 ] | TB(0) | CM(0)

栞26 

「 家に帰って、本棚を調べてみたの。」
「 そう、それで?」
「 あったわ、見つけたの。」
「 ほら、言った通りでしょう。」
「 でもね、詩集に“しおり”って書いてある栞がはさんであったの・・・。」
「 えっ、“しおり”って書いてあった・・・・。
 そう・・・。」

私は、その瞬間、思いました。

“ あっ、加奈ちゃん、何か知っている。”

加奈ちゃんの声のトーンが変わったのです。
 私は、加奈ちゃんに聞きました。

「 何か知らない?」
「 私が?」
「 そう。」
「 う〜ん・・・・・・。」
「 何か知ってるのね。」
「 そうねぇ・・。」
「 知っていることがあれば教えてよ。」
「 ・・・・・・。
 分かったわ。
 会社が引けたら、ちょっと会おうか・・、喫茶店で。」
「 ええ、そうしたいわ。」



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[ 2008/02/01 18:26 ] | TB(0) | CM(0)
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