静かの海23 

 いてぇ〜、いてぇ〜、何や、ジャガイモ飛んで来たがな、誰や、誰や。
や、ややっ、私鉄の客のガキ、投げさらしとんにゃ。
何をこしゃくな、わい、野球うまいにゃでぇ〜。
 くらえっ、やっ!
当たった、当たった、私鉄の客のガキ、窓から落ちやがった、オモロ、頭から落っとんねん、オモロ。
アホカァ〜、死ねぇ〜、死んでしまえ〜、能無しぃ〜。
うわぁ〜、ぎょうさん物飛んで来よるわ、一人であかんわ、助けてもらわな。
マイク、マイク。
 乗客の皆様、大変、ご迷惑をおけけ、じゃない、おかけしておりまひゅ。
あ〜、酒、廻って来たがな、もっと、飲んだろ。
グビ、グビグビグビグビ、フーッ。
ただ今、私鉄のガキが、皆しゃまの事を、ボケとか能無し、とか言って、喧嘩をふっかけて来よりましたので、ご協力を、お願いいたしまひゅ。
 イーッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
戦争や、戦争や、見てみい、みな髪振り乱して、物、投げおうとるがな。
負けるな、私鉄の貧乏人に負けるな。
ワッショイ、ワッショイ、ホレ、ワッショイ。
 ええぞぉ〜、やってまえ、みな、頑張らなあかんでぇ〜。
そや、そこのキツネの襟巻きしたオバハン、ええぞ、そこや、それ、投げんにゃ。
アハハハハ、かっこええバッグから、玉ねぎ出して投げとるがな。
そや、背広なんか気にするなて、そやそや、ポケットから出したパチンコの余り玉、それ投げ。
 アハハハハ、私鉄の奴、血みどろや、学生もOLも会社員も、みんな、頑張っとるわ、髪の毛グシャグシャやで。
見てみいな、あのOLロングスカート脱いで頑張っとるがな。
みな、負けたらあかんでぇ、切っ掛け与えたら、強いやっちゃ。
優勢やでぇ、優勢やでぇ、私鉄の奴、ぎょうさん窓から落ちとるがな、ヒッ、ヒッ、ヒッ。



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[ 2007/08/31 18:26 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海22 

 や、やややややや!
何や、あの電車、後ろから来やがって。
私鉄や、私鉄やがな。
そや、この線路の西に平行して走っとんにゃ。
何や、あの趣味の悪い色。
 負けるか、負けてたまるか、もっと、スピード上げたろ。
ややっ、向こうも上げよった。
クソ〜、わいと勝負しようちゅうんか。
生意気なやっちゃ、よし、わいが焼き入れたる。
 なあ、こうして、こうして、こうしたらやなあ、ハンドルが固定されてやなあ、自動操縦になんにゃがな、なあ、酒壜ちゃん、しっかり運転すんにゃで、わい、焼き入れて来たるわ。
窓、開けてやなあ。
こら〜、私鉄、何走りさらしてんねん。
お前、ええ度胸さらしとるやないけ、誰と勝負しとるか知っとんのか、ボケーッ!
 お〜、やる気やな、向こうも窓全部開けよったやないけ。
え〜、何やて、何やて、な〜ん〜や〜てぇ。
チキショウ、チキショウ、安もんの電車やてえ。
そらなあ、そらなあ、ちょっとぐらい古いわいな、なあ、そやけど、よー走るにゃで。
言い返したらな。
アホかあ〜、お前らなぁ、お前らなぁ、貧乏人ばっか、乗せやがって、インポ、インポ電車ぁ〜。
イッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、だいぶこたえとるで、スピード鈍って来たがな。



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[ 2007/08/30 20:15 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海21 

 何や、何や、みな、目ぇむいて。
何や、何や、文句あんのけ。
そか、そか、はよ走って欲しいにゃろ、待っとれや。
なあ、そ〜やったら、はよ言うてくれらららのら。
あはははは、舌、まわらへんがな。
 見てみい、見てみいなあ。
新幹線、抜かして行ったがな、な、早いやろ。
あっ、ちゃうわ、ちゃうわ、新幹線、止まっとるがな。
しょ〜もな、せっかく抜かした思たのに。
胸くそ悪い。
何や、この電車、もっとスピード出えへんのかいな。
のろいやっちゃなぁ〜。
どっかに、ジェット噴射とかのボタン無いんかいな。
007の自動車とか、よ〜付いとるで。
 や、ややや、酒壜落っとるがな。
そや、絶対そや、前の運転手、これ飲んどったんや。
ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
飲んだろ。
グビグビグビグビ、フ〜、グビグビ。
あ〜、ええ気持ちや、ハハハハハ。
あれ〜、もう、みな、おらへんがな。
さっきまで、目の前で、目ぇ剥いとったのに、大人しいもんやで。
一寸は、怒りよんにゃけど、直ぐ、大人しゅうしよるわ。
見てみい、みな、席にちゃんと座っとるがな、ハハハハハハハ。



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[ 2007/08/29 17:27 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海20 

 ええわ、お前、車掌やらしたるわ。
ええて、ええて、かまへんて、えっ、いやや言うんか、いやや言うんか、知らんで、わい知らんで、わいを怒らしたらどないなるか、知らんで、知らんで。
そや、そ〜や、そないに素直に、はいっ、ちゅうたらええにゃ。
 お礼は、お礼は、お礼言わんけ。
車掌ならしたったやんけ、お礼、お礼、お礼、お礼、お礼、お礼。
よし、それでよし、そう言う風に素直に言うたらええんや。
 見てみい、駅一つ通過したやないけ、これ各停やで。
ヒ〜ッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
扉、閉めたらんかいな、見てみい、カーブ曲がるたんびに、客、落ちとるがな。
ほんまに、しゃ〜ない車掌やで。
 何や、何や、何や煩い思たら、客、集まって来とるがな。
鍵閉まってるし入れへんやろ、オモロ。
そや、やっぱ、挨拶せな、そや、みな、わいの事知らんやろうし、心配しとんにゃ。
マイクや、マイクや。
 御乗車の皆様、御迷惑をおかけしております。
わいらの順法闘争に御協力、お願いします。
わいが、運転手だす。
どや、上手いやろ、スト何回もあったし、もう、覚えてしもたがな、な、ストして給料上がらなあかんわ、酒いっぱい飲めへんがな、タバコも吸えへんし女も抱けへん、ストしてお金ぎょうさん貰わな、な、みな、協力してな。



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[ 2007/08/28 18:59 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海19 

 ええわ、ええわ、まあ、ええわ、なあ、初めてやるにゃ、失敗ぐらいするわいな、なあ、初めてやる時、よ〜失敗するにゃ、なあ、全然役に立たんよ〜になるんやなあ、ほんまやでえ、ほんで、失敗したんや、笑われたわ、ムチャムチャ、笑いやがんねん、あの女。
そや、チクショ〜、チクショ〜、何や、もっと優しゅうしてくれたら、どうも無かったんや、チクショ〜、チクショ〜、何や、クソ、腹立ってきたわ。
 そや、そや、酒、あったんや、飲んだろ、飲んでこましたろ。
グビ、グビ、グビグビグビグビグビグビ。
みんな、飲んだったわ、アホか、死ねぇ、死んでしまえ〜。
 ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
 ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
 ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
なんじゃ〜、なんじゃ〜、みな、あの女が悪いんじゃ〜、欲求はあんにゃでぇ、酒飲まな
しゃんとせんにゃ、嫁サン三日で逃げてしもたわ、四十なっても一人や、文句あんのかあ。
アホかあ〜、アホかあ〜。
 何や、何や、マイク鳴っとるがな。
えっ、車掌かいな、えっ、違う?
誰や、お前、えっ、客やて、客が何で車掌のマイク持ってんにゃ?
えっ、車掌、逃げた?
逃げたてか、えっ、わいの顔見て、扉から飛んで逃げたてか、電車走ってる最中にか、ちゃうんか、駅でわいが乗り込むの見て、飛んで逃げたてか。
わいの事、よ〜知っとんの、おんにゃなあ。



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[ 2007/08/27 17:54 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海18 

 ある、ある、電車、置いてあるがな、おもろいなぁ、ぎょうさん人、乗っとるがな。
客、みな、ウロウロしとるで、よっしゃ、よっしゃ、わいに任しとけ、なあ、わい、知ってんにゃで、これの運転の仕方。
ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
 なあ、これ押して、これ引っ張って、これ廻すにゃがな。
ほれ、動いた、動いた、気持ち良う動いたがな。
なあ、ちゃんと走っとるやろが、ざまあ、みさらせ。
ゴト〜ン、ゴト〜ン、ゴト〜ン。
な、風吹いて気持ちええがな、クラクション鳴らしたろ。
ファン、ファン、ファン、ファ〜ン。
鳴るがな、鳴るがな、な、ちゃんと鳴るやろ。
イ〜ッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
 踏み切りかいな、なや、なや、何や、車、線路の上、止まっとるがな。
ボケ〜ッ、ど、どけぇ〜、どきさらせ〜。
わいの電車の御通りやど〜、この〜。
当たるで、当たるで、当たるで・・・・・と。
ばこ〜ん、バリバリバリッ、うっひょぉ〜!!
 オモロ、オモロ、車、バラバラや、オモロ。
わいに逆らったら、どないな目に会うか思い知れ、アホォ〜。
うわぁ〜、気持ちええなぁ。
よ〜、走っとるでぇ、この電車。
なあ、みな、待っとるわ。
この電車、通り過ぎるの待っとるわ、踏み切りで、待っとるわ、わいの電車のお通りじゃ〜。
 なあ、客も、大人しゅうなって、なあ、後ろ見てみいなあ。
あれっ、あれっ、扉閉めるの忘れてるがな。
何や、客、少のうなったみたいやけど、どっかに落として来たんかも知れんわ。



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[ 2007/08/26 18:29 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海17 

 は〜、危なかったな、先輩の威厳が崩れる所やったわ。
わい、外人、嫌いやわ。
部屋に戻って、寝たろ、・・・・・・。
 何や、何や、何があったんや。
何を、そんなに走ってんにゃ。
えっ、急病人やて、誰や、誰や。
え、運転手、今、着いた電車の運転手が、急に腹痛やて。
えらいこっちゃがな。
救急車、呼んだらなあかんがな。
 こいつかいな、ブクブク太って、何処や、何処が痛いにゃ、ここか?ここか?
え、何やて、喜んどったらあかんがな。
え、何やて、何言うてんねん、聞こえへんがな。
え、何やて、何やて、何やちゅうとんのが分からんのかいな。
痛無いのかいな、白目剥いて喜んどるがな。
 え、ちゃうて、ちゃうんかいな、喜んでんのとちゃうんかいな。
痛がってるんかいな、わいは、又、喜んでるんやと思て、腹触ったったのに、ちゃうんかいな。
なんや、しょ〜もない。
 何か、動かんようになったけど、痛みが治まったんちゃうか、わい、病人治すのうまいにゃで。
え、気絶したてか、ほんまかいな、弱いやっちゃなぁ、まあ、ええわ。
 ところで、電車、どないしとんねん。
え、駅に止めたままやて、そら、あかん、そら、あかん。
よっしゃ、わいに任しといてぇな、な、な、な。
よっしゃ、よっしゃ、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
わい、一回、運転してみたかったんや。



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[ 2007/08/25 18:12 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海16 

 何や、何や、外国人みたいに英語で喋りくさって、人が気持ち良く寝てんのに。
うわっ、外人やないけ、わて、あかんわ。
英語、あかんにゃ。
喋るなって、うるさい、分からん言うてるやろ。
も〜、しゃ〜ないなあ。
 あんた、だめ、デイスイズ、ア、エキ。
ノー、ノー、ノー、アイアム、ア、エキボーイ。
あんた、ノー、ポリ公、あっちゃ、エキ、アイアム、ア、エキボーイ。
ユー、ユー、ワカル、ココ、エキ、切符、パチ、パチ、ヒア。
 ノー、ノー、ノー、芸者ガール、ノー、エキ。
ディスイズ、マネー、イル。
え、マネー、ノー、ノー、ノー、猿の真似してもダメ、ノー、ノー、ノー。
 あ、イエス、イエス、トレイン、ゴー、ココ。
ポリ公、角を曲がって、スリーポイント。
ノー、ノー、ノー、プロレス、ノー、スリーポイント、ネ、スリー・・・。
 曲がって三軒目、ちゅうとんじゃ、このぉ〜。
ノー、ノー、ノー、ダイサンゲン、ノー、マージャン、ノー、ただの三軒目。
ノー、ノー、ノー、タダ入れない、マネー、マネー、マネー、出さなきゃ、ノー、ノー。
ダメー、ダメー、牛の真似してもダメー。
あ〜、ほんまにかなわんわあ。
 えっ、酒、くれる、ほんま、ほんまかいな、ひっ、ひっ、ひ。
イエス、イエス、アイアム、イエス、ドリンク、ドリンク、アイアム、ハッピー、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
グビ、グビ、グビ、あ〜、ええ味やわあ。
 え、ナポレオン、何や、ナポレオンて、え、これナポレオン、アホかあ、わい知ってるで、ナポレオン言うたら、フランスの天皇さんの事やがなあ。
わいらを馬鹿にしたら恐いでえ、カメラ輸出せえへんでえ。
ノー、ノー、ノー、ナポレオン、ノー、ヒア、サケ、アルコール、ナポレオン、ノー。
ノー、ノー、フイッシュ、サケ、ノー、サーケ、サーケ、ノー、ノー、ノー。
もう、あかんわ、わい、分からんわ、フランス語しかやった事ないし分からんわ。
 誰や、誰や、袖、引っ張るのは。
何や、中学生かいな、何か用か、ボク、はよ、家、帰りぃな。
え、何やて、こいつ、フランス人やて、ハハハ、通りで英語通じひんにゃ、ははははは。
そや、わい、急用思い出したがな。
お〜い、切符切り、誰かかわってんか。
 ああ、頼むわ。
ちゃんと、教えたって、わいが喋ったら早いけど、新米のお前が喋った方が、勉強になるやろ。
そや、そや、ちゃんと、そうやって、教えたるんや、分かったか、分かったか、分かったら、もう、ええな。
ほな、わい、行くで。



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[ 2007/08/24 20:38 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海15 

 あ〜、酷い目に会った、二百人位おったがな。
寄ってたかって品行方正な中年を、いじめやがって。
ええわ、ええわ、もう、二度とあいつら、切符、売ったらへんねん。
アホか、さあ、もう一回走り直しや。
 女っ。
 女っ。
 女っ。
あや、あや?
わい、何で走っとったんやったかいな・・・・。
 そや、そやがな、セーラー服、どっか行ってしまいよったがな。
おらへんがな、尻をぶりぶり振って、逃げて行きよった、あのセーラー服やがな。
もう、おらへんがな、しもた、しもた、惜しいことしたがな。
もう一寸で、寄り倒せたのに、あいつら邪魔しくさって・・、帰ろ、しゃ〜ないわ。

 ほんまにもう、あ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃ。
客、タダで構内に入って行きよるがな、もう、油断も隙もあったもんやない。
こら〜、切符買うて入れ、ボケ!
 何やて、切符、打ち止めやて、そや、思い出したがな。
打ち止めの札、貼ったんやった。
帰れ、帰れ、おのれらみたいな奴等に切符売ったるかいな。
何を、生意気なこと言いさらしとんねん。
口の利き方、勉強して来い。
 なあ、近頃の奴は口の利き方も知らん、何や腹立って来たわ。
わいの、若い頃はやなあ、そらもう厳しい躾られたもんや。
なあ、おかげで、わいみたいな立派な中年が、出来たんや、なあ、我が国背負って立つ、立派な中年が出来たんや。
 アハハハハ、帰ってまいよったわ。
電車、来よらへんと、暇やわあ、誰も来よらへん。
入って来る奴、おらへんわ、みな、私鉄行ってしまいよった、貧乏人が。
 わいらの電車はなあ、金持ちしか乗れへんにゃ。
見てみい、私鉄なんかとちゃうで、値段高いやろぉ。
わいら、金持ちしか乗せへんにゃがな、私鉄見てみ、値段安いがな、貧乏人相手の商売はかなんなあ。
ケチくさい奴ばっかりやで。
あ〜、暇や、寝たろ。



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[ 2007/08/23 21:49 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海14 

 見てみい、沿道で旗振っとるがな、かなわんな、オリンピックみたいやな。
女っ。
女っ。
女っ。
う〜、さっき飲んだ酒、ちょっと効いてきたんかいな。
何か、おかしいわ。
 うわっ、又、誰か後ろから追い付いて来よった、用意ええな、マラソンの服着とるがな。
ボケーッ!!
アハハ、ドブに落ちよった。
何や、何や、えらい人増えてきよったがな。
え、おっちゃん、頑張っててかあ、よっしゃ、よっしゃ、おっちゃん頑張るでえ。
女っ。
女っ。
女っ。
うわあ〜、物凄い人やんけ、わい、人気あんにゃなあ。
 何や、おっさん来いって言いよったがな?
こら、こら、わいの邪魔したらあかん、あかんがな、わいは、今、忙しいにゃ。
え、何やて、わいが一番やて、そや、わいは一番や。
見てみい、わい、人気、物凄いやんけ。
え、賞状と優勝カップくれるやて。
ありがと、ありがと、何やて、台の上で演説してくれやてか、よっしゃ、よっしゃ。
 え〜、お集まりのみなしゃん、わいは、一番、一番でっせえ、思い起こせば苦節四十年、故郷のおかあちゃ〜ん、わいの晴れ姿だっせえ、わいの晴れ姿だっせえ、おかあちゃ〜ん、おかあちゃ〜ん、わいは、立派な駅員になりましたでえ〜、おかあちゃ〜ん、おか………・。
 何や、何や、いやや、いやや。
離せ、離せ、わいは、台から降りとうないでえ。
えっ、違う、違うてか。
これ、町内の運動会てかあ。
名簿に名前無いてかあ。
 わいは、駅員やでえ、関係無いてかあ。
いやや、いやや、寄せてえなあ、写真、写してえなあ。
あかんてかあ。
ああ、堪忍や、堪忍や、そないなぎょうさんで殴らんといてえなあ。
おかあちゃ〜ん。
いて、いてててて、痛いがな、痛いがな。
 お前等なあ、今、わいノスタルジ〜やし、助かってんにゃでえ。
わい、普段やったら、恐いにゃでえ、いて、いてててて。
降りるがな、降りるがな、降りたらええにゃろが。
返すがな、返すがな、賞状も優勝カップも返すがな。



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[ 2007/08/22 18:23 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海13 

 なあ〜、故郷、どうなっとるやろ。
家の前、流れとった小川、どうなっとるやろ。
長い事、帰ってへんわ。
うさぎ、追いし、かの山、小鮒釣りし、かの川、ううううううう、おかあ〜ちゃ〜ん、おかあ〜ちゃ〜ん、ううううう。
涙、出てきたがな、う、ううう、そやっ!!
隣のミヨちゃん、どうしてるやろ。
ミ〜ヨちゃん、ミヨちゃん、ラン、ラン、ラン。
 わいが、九つ、ミヨちゃんが八つやったあ。
よ〜、遊んだな、なあ。
え、何して遊んだかてか、そら、もう、ママゴトみたいなもんや。
え、お医者さんごっこてかあ、いややあ、いややあ、恥ずかしいがな。
純情やったんやでえ、それから、どうしたてか、うぷぷ。
ほんでやなあ、あれは村祭りの晩やった。
キスだけ、許してくれよった、淡い思い出。
ミヨちゃ〜ん、ミヨちゃ〜ん、ミヨ…………・・。
 ??
何や、お前等、わいと一緒に走って!!
えっ、面白そうやし、わいと一緒に走ってんにゃて、背広着てか、ボケ〜っ、あっち行け。
あ〜、びっくりした。
二十人位、後ろ付いて走って来よるねん、びっくらこいたわ。



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[ 2007/08/21 18:10 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海12 

 知ってっか、知ってっか!
女っ。
女っ。
 わい、いつも、走り、一番やったんやでえ。
女っ。
女っ。
 幼稚園の時、まだ故郷にいた頃や。
女っ。
女っ。
 なあ、よ〜、裏山でイノシシと一緒に走ったがな。
女っ。
女っ。
 イノシシ、よ〜、走りよったでえ。
女っ。
女っ。
 一緒に走って、ほれ、あこ、あこあるやろ。
女っ。
女っ。
 ほれ、ちょっと清水の湧いてっとこ。
女っ。
女っ。
 あこで、山道、曲がってんねん。
女っ。
女っ。
 そこに、おっきい松の木があって、よ〜、わい、曲がり切れんで頭からぶち当たってたがな。
女っ。
女っ。
 松の木、枯れてもうたわ。
女っ。
女っ。
 イノシシ、わいのこと、尊敬しとったわ。
女っ。
女っ。
 まるで、お前は、イノシシみたいや、
女っ。
女っ。
 俺は、お前みたいに、よう走らんわ、ちゅうてやな。
女っ。
女っ。
 凄いやろ、凄いやろ、どや、まいったか。



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[ 2007/08/20 18:26 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海11 

 なんや、なんや、騒々しいなあ。
あ、しもた、しもた、出入り口開けるの忘れとったがな。
ほれ、開いた、ちょ、ちょ、そんなに早いこと通らんときいな。
定期切れたん、探せへんやんか。
 あっ、切れたんあった。
ちょっと、セーラー服のお姉ちゃん!!
あ〜、逃げて行きよるがな。
追いかけな、あかんがな、イッ、ヒッ、ヒッ。
待てえ〜、待てえ〜、ちょっと定期見せえなあ〜。
期限切れとったら、奥の部屋に引き摺り込んで、身包み剥いで、……。
 しもた、しもた、みんな変な眼で見とるがな。
かなんなあ、なんとかせな。
冗談や、冗談やがな、エヘヘヘ。
まだ、変な顔しとるがな。
かなんなあ、本気で言うたんと違うがな、えへへ、えへへ、とか、なあ〜んとかぁ、この場を取り繕いながら、走るぼくちゃん40才……。

女っ。
女っ。
女っ。
女っ。
女っ。
女っ。

 見てみいなあ、この軽やかな走り。
女っ。
女っ。
 見てみいなあ、このカモシカのような足。
女っ。
女っ。
 見てみいなあ、このわいの編み出した女式腹式呼吸四段走法。




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[ 2007/08/19 18:34 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海10 

 あ〜、やっぱ、涼しいわ、気持ち、ええわ。
電車、着いたみたいやな、音、しとるわ。
来よった、来よった、よ〜け、来よった、女子高校生ばっかりやんけ、学校の帰りかいな。
ええな、ええな、女子高校生、ええな、わい好きや、なんとかならんかいな。
そや、定期、よ〜見とこ、期限切れてたら、奥の部屋に引き擦り込んで、身包み剥いで、名前と住所聞いて……・、いやいや、あかんわ。
 やっぱ、自由恋愛の形にならな、その方がおもろいわ。
なあ、期限切れとるやろ、ほたら、わい、言うたんにゃ、なあ、ええわ、ええわ、今度から気い付けやって、言うたんにゃ、ほたら、まあ、親切な駅員さんやこと、とかなんとか言って、なあ、印象付けとくにゃ、ほたら、毎日、顔会わせるやろ、おはようございます、とか、こんにちは、とか、挨拶交わすようになるんやな。
 ほたらやなあ、そのうち、短い会話なんて交わすようになって、段々、親しいなってくにゃ、ほんで、そのうち、デートの約束をしてやなあ、映画でも行くんや、題名は、団地妻の…・、ちゃう、ちゃう、そんなんあかんがな。
そや、やっぱ、ロマンチックに何やったかな、ロミオとジュリ〜やったかいな。
 まあ、ええわ、そんなん見んにゃ、ほんで、映画館、真っ暗や、手握ったんねん、そしたら、いや、なんて小さい声出して、なあ、ええなあ、恥ずかしそうにして、なあ、もう、たまらんわ、ほんでやな、外出たら、もう、晩や、ネオンチカチカや、食堂や言うて騙してホテル連れ込んで、ちょっと酒飲んで、奥の部屋引き擦り込んで、身包み剥いで……。
何や、これやったら、一緒やないけ。
アホラシ、ここで奥引き擦り込んだ方が早いやないけ。



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[ 2007/08/18 19:34 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海9 

 そや、思い出した。
今日の朝、パチンコ屋の前通ったら、打ち止めの札、落っとったん拾て来たわ。
これ、貼っといたろ。
糊、何処や、何処や。
お〜い、糊、無いかあ。
え、無いてか、知らんてか、ほな、しゃ〜ないな。
唾付けて貼っといたろ。
 アハハハハハ、引っ付きよった、引っ付きよった、アハハハハハ。
うるさい、うるさい、うるさいやっちゃ。
この札が見えんのかいな、もう、休みや。
切符、無いわ、ほんま、うるさい客やで。
知らん顔したろ。
後ろ、向いたろ。
 ほんまに、しんどい仕事やで、毎日、毎日、必死になって働いてる振りせんならん。
なあ、アホラシイてやってられんで、酒でも飲まな。
そや、そや、ウイスキーのポケット瓶あったん、忘れとったがな、飲んだろ。
あれっ、そや、朝方、だいぶん飲んだん忘れとったがな、だいぶ減っとるがな。
医者、酒、やめ、やめ、言いよるけど、酒でも飲まな、やってられんで。
 わいのこと、アル中、言いよんねん、アホかあ〜。
グビ、グビ、グビグビグビ。
イ〜、ヒッ、ヒッ、ヒッ。
胃の中、熱なって来たわ。
あ〜あ。
 えらい静かなったな。
客、おらへんがな。
みな、帰りよった、アホや、アホや。
なんや、えらい熱なって来たわ。
そや、外、出たろ。
こんな部屋、熱うてしゃ〜ないわ。
そや、切符切り、あれ、やったろ。
あこ、涼しいわ。



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[ 2007/08/17 18:46 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海8 

 あ〜、また、客、来たがな。
もう、面倒くさいやっちゃな、帰れ、帰れ。
わいはなあ、天下の国鉄職員やど。
おのれらみたいな平民に、切符なんていらんわ。
歩いて行け、くさい、くさい、あっちゃ行け。
ほんまに、もう、うるさいやっちゃ。
うるさいっ、ちゅうんじゃ。
うるさいちゅうんが分からんのか。
面倒くさいやっちゃ。
 もう、売り切れや、切符、みんな売り切れてしもたわ。
帰れ、帰れ、家帰って寝てろ、アホ。
もう、無いわ、切符もう無いわ、売り切れや。
予定終了や、打ち止めや。
北海道やったら、あるわ、これ、売ったろか。
え、はよ、出せて、何言うてんねん、このオッサン。
ボ〜ボ〜髭、生やしやがって、頭ボサボサやないけ。
顔、洗て出直して来い。
 アハハハハハ、私鉄の方、行きよったわ。
アホか、お前みたいな奴は、電車乗せたら、電車汚れるわ。
ハハハハハハハハ、ア〜〜ア。
止めや、止めや、切符売るの止めや。
おもろ無いし、止めや。
他の事、やったろ。
客、まだおるがな、帰れ、帰れ。



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[ 2007/08/16 19:11 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海7 

 アハ、アハハやて、何やて、その態度。
馬鹿にしくさって、何や、この青二才。
どうせ、二流の学校しか行っとらへんにゃろ。
何や、何や、学生証出さんかいな、アホみたいな顔しやがって。
アハ、アハハやて、アホかあ、死ねえ、死んでしまえ〜。
アハハハハハハ。
 やっぱ、二流校や、アホや、アホや。
わいの行ってた学校とおんなしやがな、アハハハハ。
四十なっても偉なれへんわ、アホや、アホや、アホやあ〜〜〜。
えっ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょう待てよ。
わいの学校やがな。
何、言うてんにゃ、一流やでえ、一流やでえ、ほんまに一流やでえ〜。
ちょっと喋ってこましたろ。
 にいちゃん、ええ、がっこ行ってんな。
アハ、アハハハやて、そないなアホな顔して笑うなや。
なあ、学校の品位疑われるやないけ。
笑うな、笑うなちゅうてんのが分からんのかいな。
ほんま、しゃ〜ないなあ、成績悪いで。
たまには、こんなんいるがな。
ほんまに、アホやわ。
こいつ、、まだ、笑とるがな。
 成績どんなんやてえ、えっ、優ばっかりやて。
やっぱ、アホや。
わいなんか見てみいな、可やで、可ばっかりやで。
え、何やて、可の方が悪いやて、ほんまかいな、アホ言わんといてえな。
何、ほんまやて。
いやや、いやや、そんなんいやや。
わい、ほんまに淋しゅうなって来たわ。
 ほれ、定期や。
な、な、勉強して偉ならなあかんでえ、な、分かったな。
よし、よし、頷いとるがな。
もうちょっと、口締めなあかんでえ。
な、分かったな、ほな、はよ行き。
なあ、ちゃんと料金払とるがな。
偉いなあ、しっかりした子やで。
 来月、来たら励ましてたらな、あかんな。
そうしょ、そうしょ、来月、来月、あ、しもた、しもた、定期の日付間違えたがな。
えらいこっちゃ、今日の日付、押したがな。
えらいこっちゃ、一日の定期なんて聞いたことが無いがな。
ええわ、ええわ、まあ、ええわ。
明日の切符売り、わいとちゃうし、ええわ。



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[ 2007/08/15 19:48 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海6 

 なんや、なんや、何時の間にか、客、おらへんがな。
さっきまで、並んどったのに、何所行きよったんやろ。
どっか、行ってしまいよったわ。
そや、私鉄に行きよったんやわ。
あるんや、ちょっと、西、行ったらあるんや。
 なんや、私鉄なんか。
あんなもん、吹いたら飛んで行きよるわ。
こっちは、国営やにゃど、郵便も警察も役所も議員もみんな仲間やんけ。
何ぼ、赤字出しても、お札、印刷したら終わりじゃ。
働け、働け、働いて、金儲けにゃ、倒産するで、私鉄のアホ〜。
わいら、潰れたり絶対せ〜へんにゃ、ざま〜みろ。
わいらの鉄道は全国に繋がっとるんやでえ、お前らちゃうやろ。
 歌でも、歌ってこましたろか。
線路は、続くうよお〜、どお〜こまでもお〜、野を越え、山越え、谷越えてえ〜♪
え、うるさいやてえ。
人が気持ちよう踊ってるのに、なんや、なんや。
用事やったら、後にしてえなあ〜。
 え、何やて、定期欲しいやて、定期、定期、定期なんて駅、あったかいな?
何所やったあ〜、何所やたあ〜、何所やったあ〜、コ〜リャ、コリャ。
ちゃうで、ちゃうで、そんな眼で見んといてえなあ。
わい、アホちゃうでえ、気い確かやで。
ほんまやで。
 あ〜、疑ってんのか、ええわ、ええわ、電車乗せたらへんねん。
定期、やらへんねん。
そや、そうやった、定期の事かいな。
なんや、しょうもない。
駅の名前、ちゃうんかいな。



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[ 2007/08/14 18:20 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海5 

 えっ、何やて、オト〜チャンが駅長。
え、えらいこっちゃ。
すません、すません、知らぬ事とは知りならら。
舌がまわらへんがな、えらいこちゃ。
 あっ、帰ったらアカン、帰ったらアカン。
おっちゃんが悪かった。
堪忍してえな、切符やるがな。
待ちいな、待ちいな、切符やるがな。
 何やて、おっちゃんの帽子欲しいやて。
あかんがな。
あっ、待ちいな、待ちいな、帰ったらアカンがな。
他のもんにしてくれへんか?
いややて、かなんわあ、このガキ。
ええわ、やるわ。
丁度、隣の机の奴、出張してて、おらへんし、そいつの渡したろ。
どうせ人のもんや、わし、知らんわ。
ほれ、これや、やるわ。
 賢そうな子やな、学校でよう出来るやろ、おべんちゃらやけど。
ほんまに、賢そうな子や。
なんや、このガキ、自分で頷いとるがな、やっぱ、アホやで。
ええか、ぼん、オト〜チャンによろしい言うとくんやで。
わしが、頑張ってたて言うんやで、ほなな。
ああ、さいなら、さいなら。
アホなガキや。
 しもた、しもた、わしの名前教えるの忘れてたがな。
これやったら、あの子とおんなじくらい、アホやがな、しもた。
ええわ、まあ、ええわ。
また、今度、来た時、言うたろ。
どうせ、この辺におるにゃしええわ、また、今度や。



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[ 2007/08/13 18:58 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海4 

 あっ、こわそうな奴、来よった。
顔に疵あるがな。
ヤのつく人やわ。
からまれそうやわ。
こわいわ。
いやっ、指・・・・・・・。
愛想、よ〜、しとこ。
 いらっしゃいませ。
あ、しもた、変な事言うてしもたがな。
睨んどるがな、どうしよう。
今は、仕切りがあるから、ええけど、道で会ったら殴られるで。
えらいこっちゃ。
切符、タダにしたろ・・・・・。
 ほんまにタダで、持って行きよったやないけ。
まあ〜、ええわ。
次の奴から、余計に取ってこましたろ。
なんや、小学生やないけ、丁度、ええわ。
何所まで行くねん。
え、隣の駅までやて、誤魔化しにくいやんけ。
汚い鼻垂らして、アホやで、こいつ。
もうちょっと、先まで行けや。
 何やて、いややて、聞き分けのない子やな。
おっちゃんが、悪いようにせえへんさかい。
何やて、いややて。
金、出してみいなあ。
ああ、丁度出しよった。
切符、値上げしたんや。
もっと、金出さな、乗れへんでえ。
 え、もう、無いやて、何や、貧乏人の子せがれ。
帰れ、帰れ、電車ちゅうもんは、偉い人しか乗れへんにゃ。
何やて、学校の先生に言い付けるやて。
ひ、ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ。
あっ、怒っとるがな、このガキ。
帰れ、帰れ。
帰って、金、持って来たら乗せたるわ。
ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃ。
泣いとるがな、泣いとるがな、オモロ。




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[ 2007/08/12 18:17 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海3 

 うわあ〜、可愛い姉ちゃんや。
え、何所行くんやて、京橋やてえ。
ええとこ、行くんやなあ、色気が漂うとるがな。
彼氏、待っとんにゃろ、ええなあ、ホテル行きよんにゃ、可愛い顔して、もう、かなわんなあ。
ちょっと、やらしてくれへんやろか、あ、えらいこっちゃ、涎、出て来たがな。
ニコッと笑ったろ。
 うわあ、変な顔しよったがな。
まあ、ええわ。
金、足りてるやろか。
足らへんかったら、奥の部屋に引き摺り込んで、身包み剥いで、写真撮って、名前と住所聞いて、…・・。
おおとるがな。
しょ〜もな、行ってしもた。
ええ尻しとるがな。
おしいなあ。
 うるさいっ、うるさいがな!
このおっさん、禿げた頭しやがって、何、言うてんねん。
え、電車、もう、来るて。
そんなこと、知った事かいな。
ちょっと、女の尻、見てただけやがな。
それとも、わいらは、女の尻見る権利も無いと言うんか。
 分かったて、分かったて、やるがな、やるがな。
切符、やるがな。
あ、おっきい金やなあ、ゆっくり釣り銭出したろ。
百円、二百円、三百円、……………………………。
アハハハハ、行ってしまいよったがな。
電車、もう、出たんとちゃうか、オモロ、オモロ。
釣り銭、もうといたろ、得した。
 あ、しもた、しもた。
切符、間違えて、しもたがな。
あれ、隣の駅までしか行けへんがな。
あのおっさん、持って行ってしまいよった。
まあ、ええわ。
向こうの駅、行きよったら、気が付くやろ。
 出札口で見つかったらオモロイで。
三倍取られよるわ。
ええわ、赤字やねんし、ええわ。
みな、金出して、助けてもらわな。



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[ 2007/08/11 17:22 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海2 

“ 大昔、JRは国鉄と言われていました。”

 なんや、なんや、切符くれやてえ。
うるさいババアや、どない思てんねん。
わいはなあ、天下の国鉄職員やでえ。
ええ、どない思てんねん。
自動券売機があるやろがな。
そっち、行けや。
え、使い方、分からんやて。
も〜、しゃ〜ないやっちゃな。
相手、したるわ。
 え、はよ、くれやて、金出さんか、金。
何処、出してんねん、ちゃんと手の届く所に出さんかいな。
あほらし、受け取ったらへんねん。
 えっ、何、眼ぇむいてんねん、言わな分からんのかいな。
ほな、言うたるわ。
金、手ぇ届かへんやないけ。
そや、そや、そないに素直にあやまってやなあ、ちゃんと出したら切符やんにゃ。
 なんか、まだ、用、あるんかいな。
え、釣り銭?
釣り銭ないんとちゃうんかいな。
え、50円返せやてぇ、何言うてんねん。
50円ぐらい寄付せんかいな、わいら赤字や。
みな、金出して助けたらんかいな。
 え、ああ、やるやる、やらな行きよらへんがな。
見てみい、後ろに、客、いっぱい並んどるがな。
はよ、行け、ババア、何、マゴマゴしてんにゃ。
はあ〜、やっと行きよったやないけ。
あんな奴、今度から、切符、売ったらんとこ。



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[ 2007/08/10 20:20 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

静かの海1 

 静かの海


 おい、選対委員長。
“私”って言わなあかんか?
どうも、“わい”と言わんと調子出んけど、しゃ〜ないな。
苦節六十五年、わいも、いよいよ大舞台へ打って出るんや。
しゃ〜ないな、私って言うわ。
この方が、受けがええからな。
 公約、大丈夫やろな、秘書に考えさしたから、内容知らんけどな。
でも、一回読んどかんとあかんやろ。
素面やから、舌の回転鈍いしな。
トチらんようにな。
えっと・・・・・・・。
福祉を充実させます。
教育改革をいたします。
歳出を減らして減税をいたします。
 歳出って、何や?
まあええわ、分からんでも。
ほな、行こか。
カメラ、カメラ、どのテレビカメラで写してんねん。
えっ、あれか。
よっしゃ、分かった。



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[ 2007/08/09 19:58 ] 静かの海 | TB(0) | CM(0)

海亀28 

私は、即座に聞きました。

「 子供は、元気か?」
「 ええ、元気よ、今、リビングで遊んでるわ。」
「 そうか・・・。」

私は、ホッとしましたよ。
それと同時に、一瞬、気が抜けましたね。
家内は続けて言いました。

「 今月分の養育費、振り込んでよ。」
「 あ、それのことか。」
「 それのことか、じゃないでしょ。
 大事なことじゃない。」
「 分かった、忘れていた、直ぐに振り込む。」
「 じゃ、お願いね。」

 電話は、切れました。
私、思いましたよ。
子供じゃなかったんだって。
でも、おかしいでしょう。
Sの言葉は何だったんだろうとね。
 人違いか・・・。
分からないんですよ。
Sは、もう、外国に行っています。
連絡先は、私、分からないですね。
 そうですね・・。
Mが、お金のことで動き出すか・・・・。
Sの店の賃貸契約が月末で、それが切れたときに何かが出るか・・・。
ま、まだ、月末には、二週間ほどありますけどね。
 私、気になってるんですね。
ちょっと、どうしようかなって思ってね。



 完了

読んでいただき、有難うございました。

次は、“静かの海”です。



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[ 2007/08/08 19:02 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀27 

 私は、雑誌社の近くにある喫茶店まで戻り、Sの言ったことを、ぼんやりとしばらく考えていたんです。

“ 私が黒幕だと言うことは、同窓会のときバレタのか・・。”

でも、昔の記憶が浮かんでくるだけで、Sが言った言葉の意味を読むことは出来ませんでした。
それで、喫茶店に長く居るわけにもいかないので、私は雑誌社に一旦戻ることにしたんです。
 そして、雑誌社に戻った私は、そこで、自分は記者としては三流だということを、はっきりと思い知らされたように思ったんですよ。
なぜなら、雑誌社に戻って席についた時、隣の席のAの筆跡のメモが、私の携帯を重しにして、机の上に置かれていました。
そのメモを見て、ようやく気が付いたんですね。

“ 今日、何回も奥さんから電話がありました。
 早急に電話を入れてください。”

 私は、机の上の携帯を掴んで、私の一番大事な者が無事か電話を掛けたんです。
本当に、大急ぎですよ。
直ぐに、家内が出て来ました。



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[ 2007/08/07 18:54 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀26 

 Mの家を後にして、だらだら下る坂道をSと一緒に歩きました。
そこで、Mから融資を受け、また直ぐにフランスへ行くことをSから聞きました。
Sならば、芸術家として通用するようになるだろうと思いましたね。
 坂を四分の三ほど下った時、Sは前を向いたまま、私に静かに言いました。
私、それを聞いて“えっ”て思いましたよ。
何を言ったか分かりますか・・。
難しいですよね。
それは予想外だったですよ。

「 私は、中学の時、いじめられていました。
 そして、私は、その時一番大事にしていた物も奪われました。
 この前、同窓会の時、Mと話して黒幕があなただと初めて知りまし
 た。
  あなたとは、中学の時、それほど話した事はありませんでした。
 でも、あなたからいじめを受けた事は無かった。
 クラスで、唯ひとりだった。
  卒業式の日、私はあなたに言いました。
 Mに必ず復讐すると・・。
 あなただけは、私の苦しみを分かってくれると思ったからです。
 違っていたんですね。」

 私は、立ち止まりました。
そして、彼の横顔を見ました。
言葉は、返せませんでした。

「 私は、あなたにヒントを与えました。
 そして、あなたは賭けに負けました。
 私には勝ち負けはありません。」

そして、Sはそれだけ言うと、途中の交差点を曲がって行ってしまいました。
私は、去っていく彼の後ろ姿を見つめていました。



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[ 2007/08/06 19:51 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀25 

 2人の会話は、映画の話に戻っているようでした。

「 貧しい芸術家はいません。
 これほどすばらしい言葉は、無いな。」
「 そうです、その通りです。
 食は、芸術なのです。
 海亀のスープの意味が分かってもらえてうれしいですよ。」

 私、鞄の原稿を出す事をやめました。
私は、考え違いをしていたと、その時、思ったんですよ。
Sは言いました。

「 この映画を見て、我が身を顧み、自分の心の貧しさに改めて気付か
 された人は多いんじゃないでしょうか。
 人生を真に豊かにする方法は、自分のライフスタイルを確立し追及す
 る。
 そして、自分を幸せにすると同時に、他者をも幸せにする心を持ち続 けることが重要であることを思い知らされた映画ですよ。
 私は、料理人の心を石に刻みました。」

 この言葉で、私はSの人間性を勘違いしていたと思ったんですよ。
石に刻むって、あ、「石刻」ですよ、冷蔵庫の・・。
それって料理人の心だったんですね。
 私、昔のことに拘って、先入観を持ってSを見ていたとも思いましたね。
そして、Sは私の下卑た考えをはるかに超えた人間に成長していたんじゃないかと妙に感心したんですがね・・。
 Sは私に言いました。

「 海亀のスープは、美味しかったですか。」
「 満足したよ。」
「 それは、良かった。」

それで、一通り、それぞれの話が終了したんです。



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[ 2007/08/05 18:56 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀24 

 そこに並んだ、料理や飲み物は、一流のすばらしいものばかりだったが、姉妹や村の人たちには分からない。
その招待客の中で、ただ一人、伯母に連れられて同席した将軍が気付いた。
 食前酒がアモンティヤード。
シャンパンは1860年のヴーヴ・クリコ。
そして将軍は、フォアグラとトリュフのソースがかかったうずらのパイを口にした時、若いころパリの高級レストラン「カフェ・アングレ」で食べた女料理長のオリジナルメニューであることを思い出した。
 村人たちは、食事を食べるに従って、心が豊かになっていくことを感じた。
そして、最後には、星降る空の下、幸福な気持ちで満たされた村人は輪になって賛美歌を歌い出した。
 晩餐会が終わった後、姉妹が礼を言うために厨房へ行きました。

「 私はカフェ・アングレの料理長でした。」

椅子に腰を降ろし疲れを癒していたバベットが告白をします。
そして、老姉妹は宝くじにあたった1万フランをすべてこの晩餐に使ったことを知ります。
老姉妹は、大金を使ったバベットに一生貧しいままになると心配します。
しかし、そのとき、バベットは答えました。

「 貧しい芸術家はいません。」

ここまで読んだ時、同じ言葉を言うMの声が、私の耳に入って来たんです。



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[ 2007/08/04 18:16 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀23 

    バベットの晩餐会

 19世紀後半、デンマークの小さな漁村が舞台である。
厳格なプロテスタントの牧師の父に育てられた老姉妹マーチーネとフィリパには、バベットというフランス人の召使がいた。
また、ある宗派の創始者であった彼女たちの父親は、今はもう亡くなっているが、父の教えは二人の心にしみ込んでいた。
 バベットが姉妹の家にやってきてから14年の月日が流れた。
月日がたち、村人の熱心な信者は少なくなり、村人同士の諍いも増え礼拝もおざなりになっていた。
そして、姉妹は、父の生誕100周年を祝う晩餐会を開くことを計画する。
そんな状況のもと、バベットにフランスからの郵便が届き、そこには一万フランの宝くじが当たったことが記載されていた。
 そして、バベットは姉妹に初めて願い事をした。
それは、フランス式の料理で牧師の生誕100周年を祝う晩餐を作らせてほしいというものだった。
バベットは、晩餐の準備のために8日間の休みを取りフランスへ戻った。
そして、フランスからウズラや海がめなど、恐ろしげな今まで見たことも無いような食材を持ってバベットが戻ってきた。
 それらを見た姉妹は、悪魔の料理を食べさせられるのではないかと恐れた。
そして、晩餐の日、料理を恐れる招待客と姉妹は料理の話題に一切触れない約束をして食卓に着いた。

         バベットの晩餐メニュー

         Potage a la Tortue
           海亀のスープ

         Amontillado Sherry
          アモンティラード

       Blini Demidoff au Caviar
      キャビアのドミドフ風ブリニ添え

       Veuve Clicquot Champagne
          ヴーヴ クリコ

   Caille en Sarcophage avec Sauce Perigourdine
   フォアグラとトリュフのソースがかかった鶉のパイ

        Clos de Vougeot 1845
      クロ ヴィージョ 1845年もの

           La Salada
          季節のサラダ

          Les Fromages
  チーズ カンタル ブルムダンベール ブルーオーベルニュ

     Baba au Rhum avec les Figues
   乾燥イチジクとラム酒が注がれたレーズン入りケーキ

           Les Fruits
            フルーツ

             Cafe
            コーヒー

          Fine Champagne
        フィーヌ シャンパーニュ



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[ 2007/08/03 18:56 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)

海亀22 

 それでね、話が一段落して、Mが私を見て言ったんですよ。

「 昨日の海亀のスープが分かったよ。
 昨日、夜遅くSから聞いて、レンタルビデオの店を探し回ってビデオ
 を借りてきた。」

私、昨日の夜、Mの家に電話を掛けても掛からなかったのは、ビデオを探してウロウロしていたからか、と思いましたね。
それで、Mは、私に言ったんですよ。

「 この映画、なかなかの名作だと思うね。
 昨日の夜中に、見ていたんだ。
 賞を取った映画だそうじゃないか。
  その顔じゃ、分からなかったみたいだな。
 さっき、Sが粗筋のパンフレットを持って来てくれたよ。
 読んで見るかい。」

私、何のことか分からず、Mに聞きました。

「 映画?」
「 そうだ、映画だよ。」

 私は、Mから写真の入った綺麗な映画のパンフレットを受け取りました。
それで、パンフレットをパラパラ捲って見たんですよ。
途中にカフェアングレって言葉を見つけましてね。
カフェアングレ、知ってますか?
知らないですか・・。
料理関係では有名な店でね、パリにあるんですよ。
 映画はね、少し、古いヨーロッパの映画でしたね。
もちろん、料理がらみの映画ですよ。
私、その映画、全然知らなくってね。
話に付いて行けていないんで、映画のパンフレットを急いで読み始めたんです。
 MとSは、パンフレットを読んでいる私を置いておいて、フランス料理について話を始めました。
私がパンフレッをト読み終わるまで待っていてもヒマでしょう。



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[ 2007/08/02 19:46 ] 海亀 | TB(0) | CM(0)
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