次に母の実家を訪れたのは、小学校6年生になる前の春休みだった。
今度は、母が実家に一泊することになって、俺も付いて行くことになった。
俺の父は、年始から単身赴任で東京に住み、俺一人、家に残して行けなかったからだ。
祖母のことで相談があると言うことで実家の伯父から連絡があり、名古屋の伯父も来ると言うことだった。
俺は、春は虫取りは無理だが、またTと遊べると期待していた。
しかし、今度は家族の会議と言うことで、Tは来ないことが分かった。
秘密の部屋で、また遊べるかもしれないと思っていた俺は、とてもがっかりした。
それに、Tは、春休みに進学塾の合宿があるとも聞いた。
Tは、小学校の6年から私立中学を目指して受験勉強をすると言うことだった。
また、夏には一緒に遊べると思っていた俺は、夏もだめかなあと思った。
母の実家に昼頃着くと、実家の伯父夫婦が疲れた顔で迎えてくれた。
いつもなら、祖母が先に立って迎えてくれるのに、祖母の姿は見えなかった。
俺は、祖母はどうしたのかと聞いたが、病気で寝ているから出てこれないと言われた。
それに、祖母の部屋にも行ってはいけない、とも言われた。
俺は、何か伝染病なのかなと思った。
名古屋の伯父は、午後三時頃、やって来た。
家族が揃い、早速会議が始まって俺は締め出された。
俺は、会議中は誰も来ないから、大きい方の蔵に行ってみた。
大きい方の蔵は鍵が掛かっていて入れなかった。
それも、南京錠のついたチェーンが付け加えられて二重になっていた。
裏に回って、外壁の下にある明かり取りの小さな窓を見に行ったが、内側から木の板が新たに打ち付けてあることがすりガラスを通して分かった。
小さな方の蔵二つも行ってみたが、鍵がかかっていて入れなかった。
しかたがないので、俺は、家から持って来た漫画を読んだり、テレビを見たり、冷蔵庫にあった冷凍ミカンを食べたり時間をつぶした。
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