湿った階段12 

 その後、Cからはずっと何の連絡もありませんでしたし、今もそうです。
もう、T市の映画館や隣のビルも駅前再開発で商業施設となり無くなってしまいました。
T市の駅前を通りかかった時、あの辺りに映画館があったことを思い出します。
そして、私は、たまにふっとCが近くにいるんじゃないかと言う感じがする時があります。
 今まで、何回かCの夢を見たことがあります。
暗闇の中に私を引きずり込もうと言う悪夢です。
でも、Cは何所かできちんと生活している事だと思っています。
そう思うことで、嫌な思い出を打ち消そうとしているのかもしれません。
 今でも、AやBと会った時、あの事は、話題に出てくることはあります。
でも、話題に出てきても、結論は出る訳がありません。
何が起こったかは、Cにしか分かりません。
それに、ひょっとしたら、C自身、何も分かっていなかったのかもしれません。
私もAもBも、もう、終わった事だと思い込もうとしていました。
 でも、近いうちCに会えるかも知れないと言う気がしています。
なぜなら、昨日は、Cと映画に行った11月のあの日でした。
そして、あの時と同じような冷たい雨が降っていました。
夜、私が仕事を終えてマンションに帰ってきた時です。
玄関の扉に、あの時、放り投げた傘が立てかけてあったんです。


 完了

読んで頂き有難うございました。

☆明日より、“扉”を開始します。

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[ 2006/11/30 00:00 ] 湿った階段 | TB(0) | CM(0)
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