中学校3年のとき、骨折で入院したことがあります。
でかい総合病院でした。
夜は長い廊下の真ん中にあるロビーによく行きました。
漫画が、沢山置いてあったのです。
僕は、身体が動かせるようになってから、暇なので漫画を読みに行っていました。
もう暫くで退院というとき、いつものように漫画を読んでいると、初老の男の人が、ロビーの前の廊下を通過しました。
僕は、えっと思いました。
初老の男の人の後ろに黒い影が、付き添っていました。
そして、ずーっとその人に付き添って移動していました。
僕は、昔のことを思い出し悪い予感がしました。
次の日、その人に、お互い早くよくなりましょうね、と言うのが精いっぱいでした。
その人は、3日後、容体が急に悪化して亡くなってしまいました。
僕には、何もできないんです。
廊下に出してあるその人のベッドを見ながら無力だと思いました。
今まで何回か、こんなことがありました。
でも、兄以外の誰にもこんな話をした事はありません。
話しても、信じてくれないし、それに嫌がられるだけだからです。
先程、私が眼を覚ました時、驚きました。
あなたと新聞を読んでいる人の間に黒い影が見えたんです。
私は、どちらだろうかと思いずっと見ていたんです。
新聞を読んでいた人は、前の車両に行ってしまいました。
でも、影は付いて行きませんでした。
影は、あなたの横に残っていました。
私の経験では、影は消えません。
その人に寄り添っているんです。
でも、不思議なことに、今、影はあなたの隣で、すーっと消えてしまいました。
どうしてなのか、理由は分かりません。
これが、私が見たすべてです。
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