Yは、当日の出来事を語り出した。
「 喫茶店に入って壁際のテーブル席に座り、3人ともコーヒーを注文して、Mはチーズケーキを追加した。
俺は、テーブルの灰皿からブルーマウンテンと言う店名の入ったマッチを擦ってタバコに火を点けた。
音楽は、アルビノーニのアダージョが、低く流れていた。
そして、何時ものように教授ネタを出し合った。
30分ほどして、俺は腹の具合が悪くなりトイレに行った。
あそこのトイレは、窓がなくって電灯も暗く、入り口のドアを閉めると外の音が遮断され、急に夜になったような感じがする。
入り口から真っ直ぐ通路があり、右手に黒い扉が順に2つ、奥に向かって並んでいた。
俺は、2つある個室のうち手前の方に入った。
俺は、扉の方を向いて洋式トイレに座り、扉に書き込まれた落書きをぼんやり眺めていた。
しばらくして、入り口のドアが開き、引き摺るような足音が左から右へ通過し、奥の方の個室に誰かが入った。
それから少しして、風邪のせいか足元から悪寒が襲ってきて、俺は小さな声で呟いたんだ。
『 寒いなぁー。』
そうすると、奥の個室から声が返ってきた。
『 やー、久しぶり。』
若い男の声だった。
誰だか分からなかった。
同級生かな・・・・・・。
似たような声の奴が居たような気もしたけれど、俺は、有り得ないと思った。
このまま返事をしないのも気まずいので、まあ、いいかと思って返事をすることにした。
『 久しぶりやなぁ。』
少し沈黙があった。
そして、隣から声が聞こえて俺は答えた。
『 青山さおりどうしてる?』
『 K病院に入院してる。』
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