俺は、小学校の頃、広い母の実家でよく遊んだ事を思い出していた。
母の実家は、北陸地方の豪農である。
敷地は、桁外れに広く、大昔から建っている母屋は、部屋が幾つもある。
何度か改修したとは思えるが、基本的には江戸時代の作りだ。
内部は、天井への吹き抜けが高く、薄暗く、夏ひんやりとしている。
使ってはいないが竈があり、時代を感じさせる掛け軸や骨董品も珍しかった。
蔵も三つあり、大きい蔵が一つと小さい蔵が二つあった。
小さいと言っても、他の地方では、とてもそう言う言葉では表せない規模だった。
当時、母の実家には、強烈な根性おばばの祖母と気の弱い長男夫婦の三人が住んでいた。
祖父は、若くで亡くなっており、根性おばばの祖母が、家を守っていた。
このおばばに、俺とおばばの次男の息子であるTは、何回も、悪いことをする度にしばかれた。
俺たちが逃げようとすると風のように追って来る。
まるで、忍者のようだ。
逃げ切れないことも多かった。
俺たちが捕まって、おばばが頭をしばくと、パコーンと言ういい音がした。
あんないい音が出せるのは、おばばだけだ。
痛みはあまりない。
学校の先生に、しばき方を教えて欲しかったくらいだ。
俺たちは、この祖母をおばばと呼んで恐れていた。
俺の母は、二人の兄と長い間、このおばばの家で暮らしていた。
そして、結婚して母は大阪へ、次男は名古屋に移って行った。
残った長男も結婚し、根性おばばの手先になっていた。
歴史のある家なので、跡継ぎは必要だった。
でも、気の弱い長男夫婦には子供が無く、養子を迎える話も何回か出ていたようだが、家が家だけに実現はしていなかった。
☆奇妙な物語HOMEページに戻る。
奇妙な物語HOMEページ