もしも、運良く二人で逃げ出せたら、後ろを走っている方が狙われる。
必死で逃げる俺たちの後ろにヒタヒタヒタヒタヒタと足音が近付いて来る。
そして、後ろを逃げるヤツの服の首筋を左手でムンズと掴んで、右手に持ったすりこ木を振り回す。
すりこ木は木刀のように風を切り、思いっ切り尻にヒットする。
バシッと尻を叩かれると尻に衝撃が走り、尻の穴がキュッと締まるのだ。
イデデ、イデデとヒーヒー言ってしゃがみ込むと、次は先を逃げるもう一人の獲物を追い掛ける。
武器であるすりこ木が近くに無い緊急時は、オババは素手で追って来る。
そして、左手で服を捕まえると、右手で頭を思いっ切りしばく。
しばかれた頭はパコーンと言ういい音がする。
手から出ている音か頭から出ている音かは分からない。
でも、どちらからの音かは分からないが、あんないい音が出せるのはオババだけだ。
痛みは不思議とあまりない。
これは学校の先生とは大違いだ。
学校でもよくしばかれたがヒリヒリ痛い。
特に酷かったのは、プールの着替えで、誰もいないのを良いことに二人の友人のパンツを交換しておいたときだ。
あのろくでもない担任に、しばき方を教えて欲しかったくらいだ。
そして、次は二人並んで正座させられ、オババの有り難い説教が始まる。
説教が始まると家の奥の方から、ネコと言う名前の尻尾の先だけが白い黒猫が様子を見にやって来る。
ネコは説教されている俺たちの前まで来ると一瞬動きを止め、“フン、馬鹿が”と一瞥し冷たく去って行く。
コイツは俺たちがヒゲを抜こうとしたことを恨んでいるのだ。
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