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鎮め箱31 

その鳴き声に、ハッとオババは反応した。

「 あ、そうか・・、探してくれたお駄賃か・・。
 おまえにも、世話になったの。
 台所でサンマ一匹食って良いぞ。」

俺はそれを見て驚いた。

“ ゲッ!
 オババの手下は人間だけじゃなかったのか・・・。”

オババは台所に向かって叫ぶ。

「 ネコにサンマ、一匹、やれ!」
「 は〜〜い!」

相変わらずの返事が聞こえる。
そして、オババは続けたのだ。

「 そうか、分かった。
 おまえもこの悪ガキどもを懲らしめてくれたのか。
 そうか、そうか。
 そう言うことか。」

オババとネコを交互に見て、混乱している俺にオババが言った。

「 ネコはネコかの・・・。」

とぼけた顔をしたオババが、俺を見て笑っている。

“ えっ、これって冗談・・・・??”





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[ 2009/11/05 22:04 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱30 

 ネコの姿が完全に視界から消えると、俺は背後に猛烈な不安を感じた。
でも、前からオババに睨み付けられているから、振り返ることも出来ない。

“ 何だ、何だ、何だ、このイヤな雰囲気は・・・・?”

俺は背後に意識を集中した。
俺は、ネコの不穏な空気を背中全体に感じていたのだ。
 そして、それは瞬間にやって来た。

“ クイッ!、クイッ!、パチン!!
 クイッ!、クイクイッ!、パチン!!!”

なんとコイツは、俺たち二人の痺れる足にネコパンチを食らわしたのだ。

「 ぎょえええええええ〜!!」
「 やめろォ〜〜、このォ〜〜〜〜!!」

俺たちが腰を浮かせると、オババの怒りの声とすりこ木が飛んで来る。

「 ウルサイ、このォ〜〜!!
 反省しろ、反省!!
 バカモノォ〜〜!!」

オババの声はネコにも飛んで行く。

「 こらっ、ネコ!
 邪魔じゃ、おまえは!
 あっちに行け!」

でも、ネコは再び雄一郎の横を回り込み、オババの前に行って鳴いたのだ。

「 にゃ〜!」





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[ 2009/10/28 12:22 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱29 

 俺たちは神妙にしばらく話を聞いていた。
そして、そのときしつこく言われたのは、自分がしたこととその結果がどう言うことになるか、先を考えて行動しろと言うことだ。
例をいろいろ言いながら話をするのだが、最終的には今言ったことに繋がって結論付けされる。
 俺たちは時間につれて説教に飽き始めた。
それと同時に正座しているから足がジワジワ痺れて来る。
俺たちは尻の辺りをモゾモゾ動かす。
すると、この日はすりこ木が飛んで来るのだ。
 いつもなら、説教のフィニシュに突入するのに今日は違った。
足の痺れをとるのに3分の休憩、そして再び説教に再突入する。
説教、休憩、説教、休憩の波状攻撃なのだ。
 いつまで続くのか分からないくらい説教が続いた。
長い時間に、雄一郎はチラチラと柱の時計を盗み見している。
何回も波状攻撃が繰り返されると、足の痺れがジワジワと後を引いて来る。
 “もう、これくらいでなんとか許してよ”ってころに、例のごとくネコが現れた。
ネコは台所から説教部屋にそろそろと入り、雄一郎の右を回って、オババと俺たち二人の間にやって来た。
ネコはオババの顔を見上げてから俺たちの顔を見たのだ。
 いつもだったら、フンと言う顔をして行ってしまうのだが、今日は様子がおかしい。
そのまま、俺の左を通過し、俺たちの後ろに回り込んだ。





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[ 2009/10/16 10:04 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱28 

 俺たちはオババの家の門をくぐる。
門からのS字の道を通過して玄関だ。
玄関先には蛍光灯の明かりが点いていた。
蛾が三匹バタバタと蛍光灯に激突している。
 オババが玄関の扉を開け、俺たちは家に入った。
玄関横に俺たちがため池に放置した釣竿が二つ立て掛けてある。
それを見たときヤバイなァと真剣に思った。
オババが玄関から奥に向かって叫んだ。

「 おい、帰ったぞ!
 悪ガキ二人捕まえた。」
「 は〜〜い。」

 奥から気の弱い伯父夫婦が少し顔を出し、直ぐに引っ込んだ。
ホント、存在感の無い夫婦だ。
ネコの方がよほど自己主張している。
 台所から上がって隣の説教部屋を見ると座布団が二つ並んでいた。
いつもなら畳に直に座って説教だが、これは長くなりそうだと思った。


 俺たちは二人並んで座り、オババの説教が始まった。
オババの顔が怖ろしい。
オババは俺たちを睨み付け、田圃や畑とため池の関係を話し始めた。




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[ 2009/10/08 11:11 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(1)

鎮め箱27 

 村へ行く分かれ道が合流している又のところに御地蔵さんの祠がある。
俺たちがその祠の前を通過したとき、ザザッと音がして二人とも後ろから服をグッと掴まれた。
 驚いて振り替えると、怖い顔をしたオババが立っていた。
どうして俺たちがここを通過すると分かったのだろうか。
オババは俺たちを御地蔵さんの祠の裏で待ち伏せしていたのだ。
 オババは右手で俺の上着の首筋を、左手で雄一郎の上着の肩の辺りをグッと掴んでいた。

「 うわっ!」
「 ヤバッ!!」

俺たちは走って逃げようとした。
でも、足は空回りする。

「 やめろォ〜!!」
「 離せぇ〜〜!!」

 暴れる俺たちに、オババは力強く両手をグッと下に引いた。
俺たちはバランスを崩し、オババの足元に転がった。

「 馬鹿たれえ、このお〜っ!!」

 俺たちが急いで立ち上がろうとしたところに、オババは思いっ切り両手を振り回した。
俺たちの頭からは気持ちの良いほどのパコーン、パコーンと言う音が山にこだましたのだ。
そして、俺たちはオババに引き摺られて家に戻った。




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[ 2009/10/01 13:38 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱26 

 耳を澄ますと、遠くの方でおっさんたちが数人、何か言い合っているのが風に乗って流れて来る。
俺たちはまだ不穏な空気を感じていた。

「 暗くなるまで、隠れていた方がよさそうだよな・・・。」
「 うん、ヤバそうだから、そうしよう・・・。」

俺たちはそれで日が暮れるまで山の中で隠れていた。


 日が沈み辺りが暗くなって来た。
特に人声も聞こえないので、俺たちは山を下りることにした。
でも、まっすぐ帰るのは、ヤバイため池を通過することになる。
だから、俺たちは山に沿って大きく迂回し、ため池とは反対の方角からオババの家に帰ることにした。
 俺たちは山裾に沿った細くて暗い道を黙って歩く。
もう、日は暮れている。
半分欠けた月が夜道を照らしている。
道端のあちこちには、種類も分からない虫がじ〜じ〜鳴いていた。
 俺たちはトボトボと帰り道を進む。
もう、村の人たちは俺たちのことをオババに言っていることだろう。
俺たちは、ただでさえ、田圃の畦を壊したり落とし穴を掘ったりしたこれまでのいろいろな悪行を告げ口されている。
帰ったらおばばの強烈な説教が待っているだろう。
でも、俺たちが帰る家はそこしかないのだ。



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[ 2009/09/27 10:18 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱25 

 野菜畑の向こうは笹が茂っている。
山の斜面はもう直ぐだ。

“ ガサガサガサ、ガサガサガサ・・・・。”
“ ガサガサガサ、ガサガサガサ・・・・。”

俺たちは笹を掻き分け山に突っ込んだ。
そして、道の無い斜面を息を切らしながら必死に登る。

「 ハア、ハア、ハア、ハア・・・。」
「 ハア、ハア、ハア、ハア・・・。」

斜面をかなり上がり、茂みに隠れて様子をうかがった。

「 見たか、あのハゲ。
 鎌だぜ、鎌!」
「 見たよ!
 あれ、かなりヤバかった。」
「 俺、殺されるかと思ったぞ。」
「 ホント、びびったよなァ。」

でも、おっさんたちは追い掛けて来ない。
野菜畑の辺りで諦めたようだ。




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[ 2009/09/24 13:46 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱24 

そして、走りながら、右手の山が段々近付いて来ているのが見えた。

“ そ、そうだ、山だ、山に逃げ込もう!!”

俺は雄一郎に合図した。

「 雄一郎、山だ!
 ハァ、ハア、ハア。
 曲がるぞ!!」
「 わ、分かった、廉太郎!
 ハア、ハア。」
「 行くぞっ!」
「 おっしゃァ!!」

俺は畦道を急に右に直角に曲がった。

“ キュ、キュッ、タッ、ドドドドドドッ・・・・。”

雄一郎も続いて右に直角に曲がった。

“ キュ、キュッ、タタッ、ドドドドドドッ・・・・。”

そして、俺たちは野菜畑の中を、野菜苗を踏み付けながら突っ切ったのだ。

「 野菜を踏むな、このォ〜〜!!」
「 ぶっ殺してやる!」
「 待てェ〜〜〜!!」




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[ 2009/09/20 11:18 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱23 

 俺は後ろをチラッと振り返った。
それを見て、後ろを走る雄一郎も後ろを振り返った。
雄一郎の10メートルほど後ろに、ハゲたおっさんが鎌を振り上げて追い掛けて来ている。
さらに、そのおっさんの後ろに眼が血走ったおっさん軍団がチラチラ見えた。

「 ぎょええええええ〜〜!」
「 うわああああああ〜!!」

それを見た俺たちはビビッて、走る走る走る。

“ ダダダダダッ、ダダダダダッ・・・・。”

もう、振り返ってられない。

“ ダダダダダッ、ダダダダダッ・・・・。”

ひたすら前を見て走った。

“ ダダダダダッ、ダダダダダッ・・・・。”

俺たちは段々息が荒くなる。

「 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・。」
「 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・。」




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[ 2009/09/15 10:04 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)