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                        ☆ (11月22日 鎮め箱36)





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鎮め箱36 

 足が床に擦れると、痺れが脳天まで突き抜けて来る。
四つん這いで歩いていても、左右の足を交互に前進させる度に、足首から先がジンジン来るのだ。
 俺たちはひ〜ひ〜言いながら、何とか台所にあるスイカの前まで辿り着く。
そして、スイカを両手で持ち、V字型に体を曲げて尻でバランスを取りながら、足を上げてスイカを食う。
俺たちはこれまでの訓練で最適なスイカの食い方を熟練しているのだ。
 俺はガブッとスイカを齧り、口をムグムグさせて種を探す。
そして、舌で見つけたスイカの種を雄一郎目掛けて吹き飛ばす。

「 プッ、プッ!」

雄一郎の顔に黒い種が一つ張り付いた。
左の頬にホクロだ。

「 止めろ、バカ!」
「 アハハハハ!」
「 よ〜し!
 プッ、プッ、プッ、プッ!」

雄一郎の口から機関銃のように種が飛び出して来る。

「 うわっ!」

俺の顔に雄一郎のスイカの種が何個かくっ付き、雄一郎の唾とともに下にダラダラと流れ落ちる。





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[ 2009/11/22 14:22 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱35 

 オババは足を伸ばして休憩に入っている俺たちに言った。

「 そのままの格好でいいからこっちを向け。」

俺と廉太郎はオババの方に顔を向けた。

「 わしの眼を見ろ。」

俺たちは真面目な顔でオババの眼を見る。
オババは俺たちに念を押して言った。

「 もう、あんなこと二度とするんでねえぞ!!」

俺たちはオババの眼を見ながら大きく一度頷いた。
それを確認すると、オババは台所に向かって叫んだ。

「 おい、スイカ、準備出来とるか!!」
「 は〜〜い!!!」

俺たちは説教終了の合図に喜んだ。
もちろん、顔には出さず、心の中でだ。

「 スイカ、食いに行け!」

そうオババに言われ、俺たちは足先を上げて四つん這いで台所に向かう。





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[ 2009/11/20 11:21 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱34 

 俺は膨れたポケットに手を突っ込んで占い師の珠を取り出した。
そして、右手を突き出し、それをオババに見せたのだ。
掌に乗った珠は薄紫色にキラキラ輝いていた。
 オババが黙った。

「 ・・・・・・・。」

そして、ちょっと間を置いてオババは俺に質問した。

「 これ、何処にあった?」
「 これ、ため池の水門から飛び出して来た。」
「 そうか、龍神池の水門からか・・・。
 で、廉太郎が拾ったのか?」
「 そうだよ。」
「 そうなのか・・・・。」

オババは何かを考えている。

“ どうしたのかな・・・・?”

オババの鋭い眼が占い師の珠に反射して映っている。
俺は、オババがこれを欲しいと思っているなら、あげようと思った。

「 オババ、欲しい?」
「 いや、大事に持ってけ。
 これは廉太郎だけのものじゃ。
 無くさないように大事にしろ。」
「 でも、占いの珠って、俺、使わないよ。」
「 ・・・・そうか、占いの珠か。
 ハハ、そうか、そうか、占いの珠か・・・。
 分かった。
 一生、大事に持ってるんじゃぞ。
 きっと、いいことがある。」
「 いいことって?」
「 いいことは、いいことじゃ。
 もういい。
 もう、それはポケットに仕舞え。」

俺は言われたとおり珠をポケットに仕舞った。







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[ 2009/11/17 20:47 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱33 

 俺は疑惑のネコをグッと睨み返した。
するとネコは、キュッと首をオババの方に向け、一旦オババの顔を見てから、振り向きざまに俺に向かってニヤッと笑った。

「 うわっ!」

いや、俺にはホントにニヤッと笑ったように見えたのだ。
そして、ネコは俺の横を悠々と通過し、サンマの待つ台所に消えて行った。


 ネコが去り、俺たちがまだ足をモゾモゾさせていたので、天の助けかオババのお許しが出た。

「 足を崩していいぞ。」

俺たちはホッとして足を崩す。
そして次に体を横に倒して、ジンジンする足をそろそろと横から前に回し、足をゆっくりと体の前に投げ出す。
 で、そのときオババは俺たちの様子を見ながら、突然俺に質問した。

「 廉太郎、おまえのズボンのポケットに何が入っているのじゃ?」

俺のズボンの右のふくらはぎのところがボコッと膨れている。

「 あ、これ・・・。」





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[ 2009/11/14 16:41 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱32 

 ネコは俺の顔を見上げる。
俺はオババからネコに視線を移した。
そして、ネコの顔を眉毛に皺を寄せて見たのだ。

“ う〜〜〜ん・・・・。
 そう言えば、オババは祠で待ち伏せしていたよな・・・。
 オババは俺たちが魚釣りに行ったのは知っていた筈だ。
 釣りはため池だし、俺たちがさっき帰って来た方角とは違うぞ。
 どうしてオババは、俺たちが帰って来そうも無いところで待ち伏せしていたのか?
 う〜〜〜ん、う〜〜〜ん・・・・。”

俺の目線とネコの目線が激しくぶつかる。
そして、俺とネコの睨み合いが続く。
 このネコは眼を逸らそうともしない。
ネコは俺の顔を見ながら首を伸ばし、眼をさらにグワッと大きく開いた。

“ う、ううっ!”

俺は少したじろぎ首を引っ込める。
すると、ネコは勝ったと言う顔をして、フフッと鼻を鳴らしたのだ。

「 うっ、こいつ!」

俺はネコ語で“バァ〜カ!”と、軽く言われたような気が一瞬した。

“ や、やっぱり怪しい・・・・。
 こいつ、俺たちを見張っていたのか・・・・!?”





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[ 2009/11/10 10:24 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱31 

その鳴き声に、ハッとオババは反応した。

「 あ、そうか・・、探してくれたお駄賃か・・。
 おまえにも、世話になったの。
 台所でサンマ一匹食って良いぞ。」

俺はそれを見て驚いた。

“ ゲッ!
 オババの手下は人間だけじゃなかったのか・・・。”

オババは台所に向かって叫ぶ。

「 ネコにサンマ、一匹、やれ!」
「 は〜〜い!」

相変わらずの返事が聞こえる。
そして、オババは続けたのだ。

「 そうか、分かった。
 おまえもこの悪ガキどもを懲らしめてくれたのか。
 そうか、そうか。
 そう言うことか。」

オババとネコを交互に見て、混乱している俺にオババが言った。

「 ネコはネコかの・・・。」

とぼけた顔をしたオババが、俺を見て笑っている。

“ えっ、これって冗談・・・・??”





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[ 2009/11/05 22:04 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱30 

 ネコの姿が完全に視界から消えると、俺は背後に猛烈な不安を感じた。
でも、前からオババに睨み付けられているから、振り返ることも出来ない。

“ 何だ、何だ、何だ、このイヤな雰囲気は・・・・?”

俺は背後に意識を集中した。
俺は、ネコの不穏な空気を背中全体に感じていたのだ。
 そして、それは瞬間にやって来た。

“ クイッ!、クイッ!、パチン!!
 クイッ!、クイクイッ!、パチン!!!”

なんとコイツは、俺たち二人の痺れる足にネコパンチを食らわしたのだ。

「 ぎょえええええええ〜!!」
「 やめろォ〜〜、このォ〜〜〜〜!!」

俺たちが腰を浮かせると、オババの怒りの声とすりこ木が飛んで来る。

「 ウルサイ、このォ〜〜!!
 反省しろ、反省!!
 バカモノォ〜〜!!」

オババの声はネコにも飛んで行く。

「 こらっ、ネコ!
 邪魔じゃ、おまえは!
 あっちに行け!」

でも、ネコは再び雄一郎の横を回り込み、オババの前に行って鳴いたのだ。

「 にゃ〜!」





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[ 2009/10/28 12:22 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱29 

 俺たちは神妙にしばらく話を聞いていた。
そして、そのときしつこく言われたのは、自分がしたこととその結果がどう言うことになるか、先を考えて行動しろと言うことだ。
例をいろいろ言いながら話をするのだが、最終的には今言ったことに繋がって結論付けされる。
 俺たちは時間につれて説教に飽き始めた。
それと同時に正座しているから足がジワジワ痺れて来る。
俺たちは尻の辺りをモゾモゾ動かす。
すると、この日はすりこ木が飛んで来るのだ。
 いつもなら、説教のフィニシュに突入するのに今日は違った。
足の痺れをとるのに3分の休憩、そして再び説教に再突入する。
説教、休憩、説教、休憩の波状攻撃なのだ。
 いつまで続くのか分からないくらい説教が続いた。
長い時間に、雄一郎はチラチラと柱の時計を盗み見している。
何回も波状攻撃が繰り返されると、足の痺れがジワジワと後を引いて来る。
 “もう、これくらいでなんとか許してよ”ってころに、例のごとくネコが現れた。
ネコは台所から説教部屋にそろそろと入り、雄一郎の右を回って、オババと俺たち二人の間にやって来た。
ネコはオババの顔を見上げてから俺たちの顔を見たのだ。
 いつもだったら、フンと言う顔をして行ってしまうのだが、今日は様子がおかしい。
そのまま、俺の左を通過し、俺たちの後ろに回り込んだ。





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[ 2009/10/16 10:04 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(0)

鎮め箱28 

 俺たちはオババの家の門をくぐる。
門からのS字の道を通過して玄関だ。
玄関先には蛍光灯の明かりが点いていた。
蛾が三匹バタバタと蛍光灯に激突している。
 オババが玄関の扉を開け、俺たちは家に入った。
玄関横に俺たちがため池に放置した釣竿が二つ立て掛けてある。
それを見たときヤバイなァと真剣に思った。
オババが玄関から奥に向かって叫んだ。

「 おい、帰ったぞ!
 悪ガキ二人捕まえた。」
「 は〜〜い。」

 奥から気の弱い伯父夫婦が少し顔を出し、直ぐに引っ込んだ。
ホント、存在感の無い夫婦だ。
ネコの方がよほど自己主張している。
 台所から上がって隣の説教部屋を見ると座布団が二つ並んでいた。
いつもなら畳に直に座って説教だが、これは長くなりそうだと思った。


 俺たちは二人並んで座り、オババの説教が始まった。
オババの顔が怖ろしい。
オババは俺たちを睨み付け、田圃や畑とため池の関係を話し始めた。




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[ 2009/10/08 11:11 ] 鎮め箱 | TB(0) | CM(1)